株式投資の未来

株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす ジェレミー・シーゲル

読書時間4時間51分(12日間)
文章の難易度★★☆(ふつう)
内容の難易度★★★(難しい)
将来のお金の不安をやわらげたい人におすすめ度★★★

「急成長する新しい会社よりも、安定した永続する昔からある会社の方が、投資家に高い利益をもたらす」という世間の投資すべき企業のイメージを覆す、データに基づいた証明の本である。
「投資は結局インデックスで長期・分散一択だよね~」に着地していた一般人の投資バイブルにまた一石を投じる内容だ。

この本も、インデックス投資が最強である、という姿勢は変わらないものの、安定し着実に利益を出し続けられる企業に投資し、配当金の再投資によって利益を得るのを勧める、という変化球提案になっている。
投資家が富を築くためには、期待が低い中で着実に利益を出し続ける「(投資家的に見て)退屈な会社」の株を買い、長期保有するというのが正解なのだとこの本は言う。

キャピタルゲインよりも、配当金の再投資によって利益を得ることが最適解であると言っている。
感覚として「本当かよ」と思ってしまうが、この本を読む限り主張は正しい。
その主張の為に、株式市場の過去データ比較だけではなく、どんな企業がどんな成果を出すのかということの他、世界経済について、社会保障などを含む未来の予想まで、よく調べられていて展開もわかりやすく、説得力がある一冊である。
第1版発刊は2005年であるが、20年後の今、その未来予測の精度の高さにも驚く。

多くの投資家は「成長している産業や企業に投資すれば儲かる」と考えてしまう。
しかし、急成長企業は投資家の期待値が高すぎて株価も株価収益率も高騰しすぎる。
よってリターンがあっても、元手が高いので割に合わない、というのがこの本の主張。
また、投資リターンを決めるのは、実際の成長率から市場の期待を引いたものなので、企業の成長そのものよりも「予想以上に成長したか」が重要となり、もともとの期待値が高すぎると高いリターンが難しくなってしまうのだ。

一見地味にも感じられる「安定した永続する昔からある会社」がなぜいいのかということも、当然本では触れられている。
高い配当と、その配当を再投資するということを繰り返すことで、下落相場では安く多く買うことができる。
そして、急成長企業よりも株価が割安であり、配当利回りが高くなりやすい。
人々に長く愛用される製品を持つ企業が強いのだ。

最後に個人投資家が勝っためのポートフォリオの指針まであり、至れり尽くせりである。
でも人間はこうやって答えがわかっているのに、気が散り、「退屈な企業」を愛せず「わくわくする企業」で失敗するのだと思う。
それは人間の愚かさなのか、愛すべき性質なのかは、私は判断がつかない。