敗者のゲーム[原著第8版] チャールズ・エリス
読書時間 | 2時間3分(6日間) |
文章の難易度 | ★★☆(ふつう) |
内容の難易度 | ★★☆(ふつう) |
ゲームは勝つことより負けないことを好む人におすすめ度 | ★★★ |
この本は、世界的なベストセラーであり、個人投資家へ「投資および資産形成の本質」を教える「敗者のゲーム」を、最新のデータに基づき全面リニューアルし、原著第8版として2022年に発刊されたものだ。
いかに勝つためのプレーをするかで結果が決まるプロの「勝者のゲーム」ではなく、個人投資家はどうミスしたかで結果が変わる「敗者のゲーム」に置かれている。
つまり、勝つことよりもいかに負けないかを考える必要がある。
投資の基本は分散・長期であり、投資の基本方針を決めることが重要。
そして最強はインデックス・ファンドへの投資である。
この本の言いたいことざっとまとめると、こんな感じである。
かの投資家、ウォーレン・バフェット氏が奥様に「私が死んだら S&P5 0 0に投資するように」と言ったとか言わないとか。
これが本当であるとすると、相手がプロの投資家でない限り、低コストのインデックス投資を彼も勧めているということだ。
彼自身は最近S&P500をすべて売却したというニュースがあったので、素人にはもう何が何だかわけがわからない。
同じような本で、「ウォール街のランダム・ウォーカー」という本がある。(「敗者のゲーム」付録の推薦図書でも紹介されている)
この本も証券マン1年生が必ず読むと言われている投資の教科書のような本だ。
こちらを読んだことがある人であれば、「敗者のゲーム」は簡単に読めると思う。
ただ「ウォール街のランダム・ウォーカー」は500ページを超える本なので、自己の資産形成を考える上で投資の基本を知り、失敗を避けるための方法をとりあえず知りたいという人にはこの「敗者のゲーム」をお勧めする。
ちなみにこの本のページ数は300ページ弱のため、「ウォール街のランダム・ウォーカー」と比べると200ページ以上少ない。
本としての面白さで言うと、「ウォール街のランダム・ウォーカー」に軍配が上がると私は思う。
良い意味で尖っているのである。
インデックス・ファンドに投資する以外の方法では勝てない、と言い切っている。
プロにもインデックス投資が勝つと書いてあった(はずな)のである。
投資の基本は、少額を分散し、時間を使うこと、つまり長期で運用する。
複利の力も最大限活用する。
これを守れば、最終的にプロの投資家にも勝てるのだ、ということが書いてあった記憶がある。
(何年か前に読んだ本なので、うろ覚えであることをお許しいただきたい)。
「敗者のゲーム」には哲学者のサンタナヤの「過去を忘れる者は、必ずその失敗を繰り返す」という言葉が引用されている。
また、「資産全体から見て大きい金額の運用について決める時は、その前にシェイクスピアの『リア王』を読まれることをお勧めする。」ともある。
「投資の本質」は「生き方の本質」と似ている。
一発逆転はなく、きちんとした指針をもって、冷静に少しずつ資産を積み上げていくのである。
人が生きていく上での「資産」は資本ばかりではない。
人間関係や自分の能力という、お金では買えないけれど、人生になくてはならないものについても含まれている。
だから物事の真理とは意味が深いのだ。