いくつになっても、「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。 ジュリア・キャメロン、エマ・ライブリー
| 読書時間 | 3時間14分(6日間) |
| 文章の難易度 | ★★☆(ふつう) |
| 内容の難易度 | ★★☆(ふつう) |
| 老後の道を決めかねている人におすすめ度 | ★★★ |
私にとって、すごく読むのがつらかった本である。
最初に断っておくが、この本のテーマおよび趣旨が悪いわけではない。
この本は、特に退職後、自分の失われた「創造性」や「やりたいこと」を取り戻し育成するためのワークショップやエクササイズを説き、具体的な事例を含めて紹介している。
ワークショップは主に下記二本柱である。
モーニング・ページ:毎朝、心に浮かんだことを3ページにわたって手書きで書き出すことを習慣にする。誰にも見せないため、内なる声や潜在意識を吐き出し、心の整理を促すことを目的としている。
アーティスト・デート:週に2時間、自分の内なる「創造的な子ども」とデートをするように、心を解放し、楽しむ時間。美術館に行く、散歩をする、手芸をするなど、論理的な思考から離れて、心が赴くままに過ごすことを推奨している。
「仕事のない私は何者?」と想像以上の喪失感を味わうと言われている第二の人生を歩むために、自分の中に眠っている創造性を呼び覚ますにはとても良いことだと私も思うのだ。
また随所随所に偉人の名言が書かれており、生きる上で支えになる言葉たちである。
例えば、トルストイの「人生は小さな変化によって形づくられている」、モンテーニュの「世界でもっとも偉大なことは、自分自身に所属する方法を知ることだ」などだ。
しかしこの本は、とにかく話のレベルがいちいち大きい。
第二の人生を今よりも少し豊かにしたいなあと軽い気持ちでこの本を読み始めたら、スピリチュアルな宇宙の世界まで行ってしまうのである。
なにがなんだかよくわからないのが正直なところである。
私は、スピリチュアルの存在を否定する気は全くない。
むしろ人間の掌握できる範囲なんてたかが知れており、それ以外はスピリチュアルな存在として定義されることも理解している。
しかしながら、退職後の人生を大真面目に考えようと自己啓発本を読み始めたら、いきなり宇宙や自然の高次エネルギーの話まで飛ぶのである。
想像しないところに想像しない大きい話が出てくると面食らってしまう。
それだけではなく、この本では同じ文章の空欄を埋めるエクササイズが何度も出てくる。
例えば「私が取ることのできるリスクは〇〇だ」という文。
こういう文の〇〇を埋める作業が毎度5回繰り返されるのである。
こうなると狂気を感じずにはいられない。
真面目な人ほど狂うだろう。
とにかく、私にとっては文化的に理解が難しい本であった。
そんなわけで邦題の「ずっとやりたかったことをやりなさい」というのも、果たしてずっとやりたかったことができるようになるのかどうかは、よくわからなかった。
そういう意味で、翻訳書の限界も見たのである。
しかしながら、この本は大変人気で、この本を手に取る人は後を絶たない。
書店でよく平積みにされているのも見る。
だから、私のような者のほうが少数派なのだろうと考えている。
