猫は、うれしかったことしか覚えていない

猫は、うれしかったことしか覚えていない 石黒 由紀子

読書時間1時間23分(2日間)
文章の難易度★☆☆(読みやすい)
内容の難易度★☆☆(わかりやすい)
生活がちょっとだけ辛いかもと感じいている人におすすめ度★★★

猫に生き方を教わる本である。

エッセイストである著者の飼い猫「コウハイ」(著者の家には先に飼っていた犬の「センパイ」がいる)を中心とした猫の生き方を短編で綴っている。
一遍ずつが短いため読みやすく、ミロコマチコさんの挿絵がまた魅力的ですぐ読了できる本である。
「はじめに」に書いてあることが、この本の素敵なところをまるっと表現していたので、下記に引用する。

「何事にも好奇心を持って臨むこと、失敗しても『それはそれ』と先へ進むこと、正直で媚びず、いつも機嫌がいいこと(寝起き以外)。夢と希望を持ち、それが叶わなかったら、明るくあきらめること・・・。これらは私がコウハイから学んだこと。『過去にとらわれたり先々を思い悩むより、今をしっかり生きよう』、そう思ったのもコウハイの純粋さに憧れて。」

題名もすごく良い。
コウハイが梅干しの種を飲み込んで、とうとう開腹手術まで受けたのだが、獣医師は「また、誤飲しますよ」とのこと。
猫には種で遊んだ楽しい記憶だけが残り、その後の苦しかったことは忘れてしまうのだそう。

コウハイは、気高く、愛らしい猫である。
猫だって、きっと多種多様。
こんなに魅力的な猫ばかりではないだろう。
しかしコウハイや、この本に出てくる猫の生き方は、人間の私たちに穏やかな希望や勇気をくれるのだ。

私は、ミュージカルのキャッツが大好きだ。
アンドリュー・ロイド・ウェバーの音楽やダンスも素晴らしいのだが、何より、人間の生き方にも通じる「猫の生き方」をぎゅっとまとめて観ることができる。
キャッツに出てくる猫は、個性があり、自分に正直で誇り高い。
ミュージカルはオリジナル以外邪道だ、と思う人もいるかもしれないが、私は劇団四季版のキャッツが好きだ。
ロンドン版の映像DVDも持っているが、劇団四季のキャッツは、猫のチャーミングさと同時に、気高さや誇り高き生き方がよく表現されていると思う。
この本を読んで、キャッツのことを思い出し、猛烈に観に行きたくなったのだが、これを書いている今は、どこでも上演されておらず、その予定もないらしい。
哀しい。

私はこういう本をこのサイトで紹介したいと思っており、今回良い本に出会えたことを大変幸せに感じている。