働きたいのに働けない私たち チェ・ソンウン
| 読書時間 | 1時間43分(5日間) |
| 文章の難易度 | ★★☆(ふつう) |
| 内容の難易度 | ★★☆(ふつう) |
| 女性のパートナーがいる男性に人におすすめ度 | ★★★ |
この本は、韓国社会における高学歴女性の、労働およびキャリア形成と、出産などの家庭の両立をめぐる厳しい現実を分析したものだ。
著者自身の子育てとキャリア両立経験やデータ分析、政策提言について書かれている。
韓国では、特に高学歴で有能な女性が、結婚や出産を機にキャリアを断念せざるを得ない社会状況があり、その背景にある構造的な問題に触れている。
働く意欲と能力があるにもかかわらず、社会構造的な性差別と家庭におけるケアの負担によって女性が労働市場から退場させられる由々しき問題があるのだ。
未だに強く残る、女性への社会の構造的差別や編見を軸に、高学歴女性ほど男性に比べて就業率が低くなるという、他のOECD加盟国では見られない特異な現象を指摘する。
これは、高い能力を持つ人材が社会で活用されていないことを意味する。
ここまでの内容で、気が付いた方もいらっしゃると思うが、これは韓国だけの問題ではなく、日本と非常に共通点が多い。
それについては、この本でも言及されている。
韓国では日本以上に学歴社会である。
自分の子どもを激しい受験競争において生き残らせるために、どうしても家族がマネージャー化する必要性があり、その役目のほとんどは母親が担っている。
そういう点で多少相違があるものの、根本的な問題は共通していると私も思う。
優秀な女性を活用できないという点は、労働力の不足においても、人材活用においてもカ側市場にわいしたこすマイナスである。
社会構造の変革が必要だ。
根本的な解決となると、「子どもが何かあったら世話をするのはまず女性だ」という価値観を変革していくことと、そして今なお色濃い男性本位という職場体制の解体が必要である。
時間はかかるかもしれないが、解決していくべき内容である。
ここに改めて問題と原因を提示した点が、この本の価値と言えるだろう。
「ただ働きたかっただけなのに、セクハラ、パワハラ、マタハラにさらされる。働こうとするほど多くの傷を負わざるを得なかった彼女たちは、大げさではなく生存のために『自己都合退職』というかたちで職場を離れた。それは、はたして選択だったのだろうか。選ばされたのではないだろうか。そして、学んだ人でさえ排斥される社会に、次の世代はロールモデルを見つけられるだろうか。」
142ページからの引用だ。
この本を読む意味がこの文章に凝縮されていると私は思っている。
もちろん、この世の中で、女性だけが苦しくて、辛くて、立場を悪くされているわけではないことは理解している。
女性だからこそ許されたり、得をしたりすることも、もちろんあるのだと思う。
しかしながら、私の実体験としても、まだまだ社会は男性優位なところはあると思うし、構造的差別というのは根強いと感じている。
すべてが平等に公平であることはそもそも無理なことはわかっているが、同じ努力をしても性別の違いだけで不利益を被ることがあるということは周知され、変えていくべきことだと私は考えている。
