THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法

THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法 シーナ・アイエンガー

読書時間3時間33分(7日間)
文章の難易度★★☆(ふつう)
内容の難易度★★☆(ふつう)
アイディアはどこからくるのか気になる人におすすめ度★★★

単なる「良いアイディア」を超えた、イノベーションのように多くの人に価値のあるアイディアを生み出す方法を書いた本。

アイディアは突然降ってきたり、天才だけのものだったり、運任せだったりするものではなく、生み出す理論があるということ。
これは我々凡人にとっては、ものすごく心強いことではないか。

簡単に言うと、アイディアとは自分の中での知見の組み合わせであり、その組み合わせをどのように選択し、精査したら良いのかということ。
それがこの本の題名でもある「Think Bigger」という手法だ。

Think Biggerは以下の手順を踏む。
課題を選ぶ、課題を分解する、望みを比較する、箱の中と外を探す、選択マップ、第三の眼テスト

上記手順はステップ順に書いたが、これは一方向ではなく、循環することがある。
何度も手順を繰り返すことでより良いアイディアが見つかる可能性が高くなる。

歴史的な発見、発明、作品がどのように生み出されたのか具体例も書かれているから興味深い。

そして各ステップで私が印象に残ったことは下記3点だ。


アイディアは量ではなく質であること。
ただし、量を超えた後にやってくる質であることに注意したい。

自分が何を望んでいるのかを忘れないこと。
ターゲットや第三者の需要や望みの他に、自分自身の望む形を軽視しないこと。


アイディアの組み合わせは、遠いもの同士を持ってくるのが良い。
多様な領域から探すという意味でもそうだし、新しいものと古いものを組み合わせる時間という意味でもそう。

つまり、自分の持つ質の高い知識のピースと、そのピースのどれとどれを組み合わせるかの判断が、自分も他の人も満足する偉大なアイディアが生まれるプロセスだということ。

そしてこのThink Biggerを実践するには、好奇心と粘り強さが必要不可欠となる。
いかに自分の領域以外のアイディアを引っ張ってこれるか、課題は正しいのか、常に諦めず考え続けなければならない。
そして最終的には他人の眼を通して、アイディアを精査していくことも重要なステップだ。

総じて、良いアイディアを生み出すためには時間も労力もかかると言うこと。

この本を書いたのは、かのジャム実験(選択肢は多いほど良いと思われていたが、少なすぎても、多すぎても選べなくなるという結論)で有名な「選択の科学」の著者。

全編を通して「慎重に選択することの大切さ」を読んで取れる。

そして、この本では科学的に「ない」結果が出たことについても書かれていることが面白い。
・右脳型、左脳型という思考は存在しない
・ブレインストーミングの効果は研究で否定されている
・オフィス空間をクリエイティブにしてもアイディアの質は上がらない
・失敗(上手くいかなかった方法)からは学べない

私は「何かを知ること」がすごく好きだ。
だからこうやって本を読み続けている。
読んでいる本は、99%が勤めている会社の仕事とは関係ないものだ。
でも、それが仕事でも、自分の人生そのものでも、何となく説明はできないけれど役に立っているような感覚があった。
今回この本を読んで、自分の領域以外の質の高い知識がとても役に立つことを知った。
上手く組み合わせられることが前提となるけれど、とてもポジティブな気持ちになれる本だった。