グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない ロバート・ウォールディンガー 、マーク・シュルツ
読書時間 | 5時間28分(7日間) |
文章の難易度 | ★★☆(ふつう) |
内容の難易度 | ★★☆(ふつう) |
本当の幸せには何が必要なのか知りたい人におすすめ度 | ★★★ |
幸福な人生を送るために必要なものは「富」でも「名声」でもなく、「良好な人間関係を築くことができること」である。
というのがこの本が言いたいことです。
特段新しさもないような内容の本に思えてしまうのですが、これは「ハーバード成人発達研究」という同一家族の2世代にわたる被験者群を80年以上追跡調査した結果をもとに導き出された研究結果から改めてわかったことです。
この80年は大恐慌や戦争の実体験を経た被験者がいることも注目できる点だと思います。
太古の昔から良好な人間関係の大切さは語られてきました。
みんな、なんとなく「人間関係は良いに越したことはない」と思っていたけれど、どこか確信が持てなかったり、綺麗事のように考えてしまっていた側面はあるでしょう。
現に哲学者は何千年前から言っていたことで、科学が最近この理論に追いついたようです。
人間関係が良好であれば、心身とも健康に長生きができる、そして本人が幸せだと感じられる。
そして人間関係が良好な人の方が、実際に傷などの外傷、病気なども治りやすいことが調査でわかったとそうです。
そしてこの人間関係が良好かどうかは、「自分がどのように人間関係を築けるか」がポイントであり、学歴や環境、年収という枠では測りきれないこともわかりました。
頭が良くて、家族がいて、年収が高くても、孤独を感じ人生に希望を見出せずない人もいるし、選択肢がない状態で仕方なく職業を選んだ人が、心から愛する家族と過ごすことで人生の満足度が非常に高いこともあるそうです。
この人間関係が良好である大切さは身近な人にとどまらず、見ず知らずの人との関係でさえ満足度が上がるそうです。
例えば、電車の中で知らない人と過ごす時やお店で店員さんとコミュニケーションを取る時など、私たちがさほど重要だと思っていない他者との関係でもそうなのです。
具体的に、家族、職場、友人との関係性の重要さと具体的にどうしたら良いのかということも書かれています。
こじれたり疎遠になったりした人との関係を修復するのは時間とともに難しくなるし、新しい友人を作ることも年齢が上がるとハードルがどんどん高くなるような気がします。
人間は年齢を重ねれば重ねるほど、保守的で、諦めることが多くなり、行動することが減っていきます。
そして同時に孤独を感じやすい環境になります。
でも、この本の調査結果からは「今から始めても幸せになれる」可能性があることがわかります。
仕事を引退してから新しいコミニュティで友人を作ることもできるし、それが生涯続いた人がいます。
この本のサブタイトルと最終章の表題は「幸せになるのに遅すぎることはない」です。
始めようとしたその瞬間が一番良いタイミングなのです。