デュアルキャリア・カップル

デュアルキャリア・カップル ジェニファー・ペトリリエリ

読書時間6時間24分(5日間)
文章の難易度★★☆(ふつう)
内容の難易度★★☆(新しい視点あり)
パートナーとの生活に『仕方なさ』を感じている人におすすめ度★★★

「愛情と仕事の両方で成功するにはどうしたら良いか?」がテーマの本。
「パートナーと比べれば私の仕事のキャリアなんて…」と思っている人、日本人であれば圧倒的に女性側が多いと思うけれど、そういう人に読んでほしい一冊。
自分の家庭と仕事における役割を再考するきっかけになると思います。

パートナー同士についての個々のキャリア形成とお互いの関係性については別々に考えられることが多かったけれど、同時に考えることで二人のより良い関係性を目指す点が今までとは違う視点だと思います。
キャリアでも人格的にも二人で成長していこうという戦略。

二人が迎える転換期について三つ書かれていますが、特に第三の転換期について注目しました。
第三の転換期とは「年を重ねて起こる喪失感に二人で向き合うこと」。
長い人生、喪失感とどう付き合っていくかは、これから生きていく上で真剣に向き合うべきテーマだと私は思っています。
子どもが独り立ちしていなくなる、体力が衰える、退職する…など自分の手から離れていくものは年齢を重ねるほど増えていくでしょう。
しかし今が手一杯だと遠い未来、誰にでも必ずやってくることさえ考えられない時があります。
それに向き合える土壌をパートナー同士でも少しずつ育てていく必要があるのだと思いました。

この本は精神論ではなく、研究という根拠から導き出された答えが書かれています。
「パートナーの一人がもう一人のために自分をセーブしないほうが二人とも成功する」という多くの人が勇気をもらえるデータもありました。
いろいろなカップルの形はあれど、共通点、問題の本質があるようです。

パートナー同士は対等であるはずなのに、実際は対等でいられないことに苦しめられることがあると思います。
キャリア、人生、二人の関係に何を求めるかを考えて話し合うことが必要なので、冷静に素直に自分の考えを話し合えないとパートナー二人とも成功するのは難しいかもしれません。

同じ場所にいるはずなのに、見ている方向で景色がまったく違うことがありますよね。
相手には相手の見ている景色がある。
それに耳を傾け、自分も素直に思っていることを言うこと。
二人一緒に過ごした時間が経つほど、それができなくなるのもわかる気がします。
諦めたくなるようなことが繰り返されることもあるかもしれません。

パワーバランスが一般的に強いと思われる方が、もう一方の話を誠実に茶化したりせず聞くこと、そしてパワーバランスが弱いと思っている方も、自分の気持ちを遠慮せずに素直に嫌味を持たせずに言うことが大切です。
頭でわかっていることと、実際できることを近づけていくのは難しいですね。
でも、それを乗り越えられるかどうかが、パートナーとの今後の人生を決定的に違うものにすると思いました。

とここまで書いてきましたが、私は良くも悪くもシングルなので、実践ではなくあくまでも勉強として読ませていただきました。