本の内容を覚えられないと嘆く人へ

本の内容は覚えなくても良い。

世の中には、読んだ本の内容をこまめにメモしたり、箇条書きにしたり、付箋を何か所も貼ったり、読書ノートを作ったりして、本の内容を頭に定着させようとしている人々がいるらしい。
マメだな、というか、すごすぎる。

私は、本はその時に楽しく読んで終わりであるから、そういう人たちを尊敬するとともによくそこまでできるなと、もはや異世界の住人かと思っている。
でも、本の内容の定着を目指す気持ちなら少しはわかる。
せっかく1冊、何時間もかけて読んだものだ。
内容を頭に入れておいて、使いたい時にすぐ思い出せなければ意味がないと思うのは自然な気もする。

でも、人間、いざという時にすぐ使えるような知識をそんなにいろいろ覚えていられるものだろうか。

読書で大切なことは、内容を覚えることではないと私は思っている。
私にとって一番大切なのは、その本を読んで、どんな気づきや感動、思考の変化が自分に起こったかということだ。
本の内容を入れた自分の脳みそがどう動くか、化学反応を待っているような感覚だ。
読んだときにはさほど重要だと思わなかったことも、人生のある瞬間、何かの出来事に出会った時に、突然思い出したりする。
人間の思考と記憶の面白いところだ。

そして、究極、得られるものが何もなくてもいいとも思っている。
本に向き合った自分の時間というのは、この忙しく自分を見失いがちな現代にはとても必要なことだと思うからだ。
読書をした自分だけの時間そのものが貴重で大切なのだ。

私が目指している読書は、今日明日仕事に使って、はい終わりというような薄っぺらいものではない。
「人生の役に立つこと」だ。
どんな知識や考えがいつ役に立つかなんて、仕事と違い、人生単位で見ると、まったく予想がつかない。
でも、いつか必ず、予期しない時に、予期しない知識や考えが役に立つ時がくる。
だから、人生は心躍るのだと思っている。

メモしたり、努力したりしないと覚えられない何かというのは、自分にとってはそんなに必要がないのではないかとも考えたりしている。

だから、本を読んでもなかなか覚えられないと悩まないでほしい。
人間はそんな完璧じゃないから。 それでも、十分価値があるものが読書という時間の使い方なのだ。